駅名「越前開発」は「えちぜんかいほつ」と読む!
「カニたべたーい!」という衝動にかられ、12月、東京から北陸は福井市へ行ってきました。
せいこ蟹の「まつ田せい子丼」を食べ、次の日は恐竜博物館に行こうと、駅前のホテルを予約し、福井駅から「えちぜん鉄道」で3駅目にある「極楽湯」に入りに向かいました。
「えちぜん鉄道勝山永平寺線」で3駅目は「越前開発」駅。
初めてなので、乗り越ししないように、社内アナウンスに聞き耳を立てていました。
「そろそろ3駅目だけど言わないなぁ。」「1つ乗り越しちゃったかなぁ。」と焦っていたら、「次は~えちぜんかい・・・」と言ってるようだ。「駅名の読み方が違うんだ。」、「ほつ???」
最終的に停車後、ホームの駅看板を確認し、降車しました。「越前開発」駅は「えちぜんかいほつ」駅と読むことが分かり、驚きました。
「開発」を「かいほつ」と読むのって、珍しいなと思って調べてみることにしました。
「かいはつ」は「漢音」,「かいほつ」は「呉音」と称されていました。
「漢音」は7~8世紀の奈良時代から平安初期にかけて遣唐使や留学僧たちが伝えたもので、桓武天皇が792年、漢音奨励の勅を出し、呉音を廃して漢音の使用を推奨したこともあり、幅広く使われるようになりました。
「呉音」はそれ以前の5~7世紀頃までに、朝鮮の百済から伝わったと言われていて、歴史は「漢音」より古いのです。(旅する応用言語学「音読みの種類について」より)
仏教の経典など、仏教関係の「言葉」に、今も多く残されていて、百済救済の「白村江の戦い」から逃れてきた亡命百済僧や百済系技術者集団や、百済人の子孫も関係していると言われています。
また、「越前開発駅」の「開発(かいほつ)」の意味は、開拓に関係のある地名と考えられがちですが、実は仏教用語の「宿善の開発」(しゅうぜんのかいほつ)から名づけられたと伝えられているようです。(福井県史より)
同沿線に今も、200名前後の雲水(修行僧)たちが厳しい禅の修行を営んでいるという「永平寺」もあるので、仏教用語が色濃く残っているお土地柄なのかもしれません。
また、同沿線には「発坂」という駅もあり、こちらも音は「ほっさか」で、呉音読みでした。
駅名「保田」は「ほた」と読む!
続いて同沿線には、「保田」と書いて「ほた」と読む駅があります。
「越前開発(えちぜんかいほつ)」駅で「ほ」音に衝撃を受けた私は、「保田」の「ほ」音にも敏感になってしまい、調べてみることにしました。
「保(ほ)」とは古代から中世の日本に存在した地域行政の単位。で、「呉音」が通常で使われていた時代には、5戸を一組として構成され、保長のもと、治安・納税の連帯責任を負う行政単位だったようです。
「漢音」が広がった平安時代には、「保」は、平安京の都城制・条坊制の中に設けられた地割の単位となり、
平安時代後期(11世紀後半以後)から中世にかけては、人名や地名を冠して呼ばれ、「荘」「郷」と並んで中世期を通して存在したと言われています。
このように「保田(ほた)」も古代からの歴史の古い地名かもしれません。
また、同沿線に「越前新保(えちぜんしんぼ)」という駅があります。この「新保(しんぼ)」という地名は、「本保」に対する新開墾地を意味する中世地名で、福井県から新潟県まで北陸一円に広く分布しているそうです。
「新保(しんぼ)」も「開発(かいほつ)」も北陸と近接する滋賀県以外の他の地方には、ほとんど見られない地名読みのようです。(啓蒙公民館HPより)
駅名「志比堺(しいざかい)」「下志比(しもしい)」の「志比」って何?
続いて同沿線には、「志比堺(しいざかい)」「下志比(しもしい)」という駅名があります。
「志比」の土地名に何か珍しさを感じて、調べてみました。
「志比」という地名は、歴史は更に古いと考えられます。
縄文時代、アイヌ民族がまだ東北から沖縄に至るまで、全国的に先住していたと言われる時代、アイヌ語=縄文語が、日本列島で共有化され、育まれていたと考えられています。
そして、全国に多くのアイヌ語地名を残したと言われています。
「志比」は、アイヌ語の
「shib-i」=(「鮭場」という意味 )
が残存している地名と考えられます。
「えちぜん鉄道勝山永平寺線」は九頭竜川に沿って走っていて、志比堺駅・下志比駅も河川沿いにあります。
現代の鮭の南限線(年平均気温14°Cの等温線)に一致するようです。
現代は、南限線に位置していますが、アイヌ語の「鮭」に関する地名は、更に南下して、渥美半島や和歌山の南端、高知県の西南部から九州のほぼ中央部まで、現代の年平均気温16℃の等温線にまで見られ、縄文時代は今よりも、年平均気温が2°Cほど低かったと考えられています。(木村圭一著「アイヌ地名から見た古代日本の鮭の分布」より)
九頭竜川は、今は鮭の遡上もそう多くはなくなってきていると思いますが、縄文時代は、鮭の遡上が大量に見られ、志比堺や下志比あたりで、縄文人=アイヌ民族たちが、大漁豊漁に沸いていたのではないかと想像されます。
駅名「比島(ひしま)」の「比」って何?
更に、同沿線には、「比島(ひしま)」という駅があります。
「志比」にも付いていた「比」って何なんだ、「比島」ってどうゆう意味なんだという思いにかられ、調べてみました。
なんと、この「比島」という地名、こちらも、アイヌ語地名であると考えられることが分かりました。
アイヌ語の
「pi」=「ごく小さいこと」
「syuma」=「石や岩」
という意味になります。
秋田にある「比内地鶏」で知られる「比内」という地名は、アイヌ語地名と言われていまして、
アイヌ語の
「pi-nay」=「小石が多い沢」
という意味があります。
これを応用すると「比島」は、
「pi-syuma」=「ごく小さい石や岩」
となります。
アイヌ民族は、敷き物や背負い袋を編むために、小石を編み糸に巻き付けて、おもりとして使ったりしたそうなので、縄文人=アイヌ民族が小石を利用して何か作業するような場所だったのかもしれませんね。
終着駅「勝山」で出会った Surprise!
終点「勝山駅」は「福井県立恐竜博物館」がある駅で、その駅舎が国の登録有形文化財に指定されている趣のある駅です。
ここで私がいただいた素敵なSurprise!
じゃ~ん
バドミントン日本代表選手 山口茜さん の故郷でした!!
よくぞ、この奥深いところから、日本を席巻し、世界をも席巻せしめんとする、茜さんの「凄さ」を感じました。
同時に、写真の色紙にも書いてあります大事にしている言葉は「楽しむ」!!
「楽しいことに正直に突き進んだ延長上に、今の栄光があるんだな」って感じました。
茜ちゃんの、ボーイッシュなところ、ポーカーフェイスなところが大ファンなのですが、
故郷の茜ちゃんは、満面の笑顔でした。
「オリンピック」もどうぞ存分に試合を楽しんで。
楽しんだその先に「栄光のメダル」が、いつか
茜ちゃんの胸に輝きますように!!
茜ちゃん、応援してます!!
私も、楽しむよ!
「アランの幸福論」という本の中で、
「楽しむ」に関して、
次のように書かれてあります。
~「本物の音楽家とは音楽を楽しむ人のことであり、本物の政治家とは政治を楽しむ人のことである。そして、楽しむのは能力のある証拠だ。これはアリストテレスによる驚くべき洞察である。なにをするにせよ、本物の上達は、そこでどれだけの楽しみを得られるかによって測ることができるのだ。」~
「楽しむ」って言葉は意外と奥が深い!
「茜ちゃん本物だね!」
最後は哲学になりましたが、みなさんも
どうぞ「楽しんで」!
それでは またね !